建築についての相談

Q&A

家の設計を頼むには

新築するマイホームの設計でいろいろ悩んでいます。思い切ってプロの設計事務所に依頼してみようかと考えますが、設計料は結構、高額になると聞いたことがあり、なかなか相談に行けません。弁護士費用みたいに基準となる相場があるのでしょうか。また、事務所の紹介などもしてもらえるのでしょうか。

本来、仕事として設計を行うことは、各都道府県に登録された「建築士事務所」にしか許されていませんので、資格の無い人や無登録の事務所は、たとえ住宅でも設計できないことを知っておいて下さい。
設計の依頼をする場合に考えておく点をあげますと、自分の考えている住まいについて、イメージはどうするか、全体の予算(自己資金+借入金)はどのくらいか、床面積はどのくらいを考えているかなどを出来るだけ詳しくメモしておいたら良いと思います。
設計料については、国土交通省告示15号によって一応の目安が示されていますが、設計事務所によって人件費や経費などに幅があり一概に言えません。
また、設計事務所の選び方については、住宅になれた事務所を選ぶことが第一であり、建築士の個性についても検討した方が良いと考えます。事務所の紹介については、欠陥住宅にしないためにも3社くらいを推薦してもらい、個人的に話し合いをして、選択してはいかがでしょうか。
設計料についても、直接に聞かれたら良いと思います。設計事務所に依頼すると工事費が高くつくというようなことが言われますが、設計の本来の姿は、依頼者の要望を聞いて、費用的にもデザイン的にも依頼者が満足のいくよう努力することであり、工事業者と直接つながらずに、依頼者の立場で設計から工事業者選定までを行う方が、結果として安くなることが多くなります。

マンション計画に助言を受けたい

これからマンションを建てたいので、耐震性の問題点や参考事項について教えてください。
50坪の土地に鉄筋コンクリート造4階建ての住まい付きワンルームマンションを計画をしています。簡単な平面図でハウスメーカー3社と2工務店に工事の見積りをして貰いましたところ、各社に、かなりの金額に開きがあります。
一番安いA工務店に頼もうかと思いますが、耐震性の問題や基礎杭について心配があり、安かろう・悪かろうでは困ります。工事が適正であるかどうかを見てもらえる人も頼みたいと考えています。

簡単な平面図で工事の金額がはっきり積算することは無理です。まずは設計図と仕様書ができて、そのうえで再度、見積りをしてから施工業者を決めてください。 一番良いのは、建築士事務所に依頼し、あなたが心配の耐震構造・基礎杭等をよく説明して心配のない設計図書を作成して貰うことが第一です。そのうえで再度、各施工業者に見積って貰い、建築士事務所の助言を受けて業者選定をされたらよいと思います。
どうしてもA工務店に依頼するのであれば、設計図書ができたらもう一度、見積書を出してもらい、納得してから契約することが大切です。契約までは慎重に時間をかけることです。耐震性の問題や杭については、構造図や構造計算書チェックする必要があり、それには専門の建築士に見てもらわねばなりません。
「工事が適正であるかどうかを見てもらえる人に頼みたい」との希望ですが、監理だけでも建築士事務所に依頼なさるという方法はいかがですか。建築士事務所は、そのためにあるプロフェッショナルなのですから、工務店を信用できないのなら、設計の段階から建築士事務所に依頼すべきです。設計が終り、当然工事監理をまかされれば、工事の竣工まで安心できることでしょう。

アパート建設の留意点

自宅敷地を活用して、アパートを建てたいと考えています。その際の留意点についてアドバイスをお願いします。アパートの外観も昔とだいぶ変わったようです。現在の傾向などについても教えてください。

アパートは建築基準法や都市計画法などの法的用語では「共同住宅」となります。手順としては、計画地がどの地区・地域に位置するか、前面道路の状況や幅員、敷地の広さや形状などを基礎調査します。都市計画法や建築基準法、関係条例などに照合し、計画通り建築可能か、また、どの程度の規模(面積や高さ)が可能であるかの判断がまず必要です。 型式としては、マンション、レジデンスといった高級住宅から木造平屋のアパートまで種々あり、一戸の間取りにしても家族用から単身者用まであり、各戸の玄関まで出入り自由のオープン型や、共用玄関で種々のチェック機能を持つ保安型のものもあります。
構造的には、木造、鉄骨造、鉄筋コンクリート造などに分類できますが、それぞれ特徴をもっています。1、2階建てアパートでは、木造、鉄骨造での施工が多くなっています。工事費の経済性、工期の短縮などからですが、隣室、上下室からの音や震動に対して、床、壁、天井などに防音材を充てんしたり、ボードを二重張りにしたりするなどの対策が必要です。
また、工事費と関係してきますが、特に配管材、屋根材、外壁材などはできるだけ耐久性を考えて選んでおきたいものです。 さて、アパートは賃貸が目的です。周辺の賃貸状況と建物のグレードを加味し、賃貸料を決めますが、投資した資本を何年で回収できるかという採算を考えなければなりません。入居率は何割程度か、不動産取得税・都市計画税・固定資産税などの税金や保険料、修繕費を含めた維持管理費も必要となります。
以上のような点を考慮し、計画することが必要です。「住宅難」の時代は終わり、最近は環境が良く、買い物に便利、清潔で静か、そんな住まいを入居者は好んでいます。賃貸側も、若い人を対象として計画する傾向が多くみられ、ヨーロッパやアメリカンスタイルでデザインし、カラフルで楽しい、個性豊かな外観にしています。
質の良い住居を提供し、質の良い賃借人に入居してほしいと考えるようになっています。

マンション選びのポイントが知りたい

マンションを買いたいと思います。マンション選びのポイントをアドバイスしてください。
私たち夫婦は共に両親が健在で、実家に多くの兄弟姉妹が両親と同居しておりますので、とりあえず、親の資金援助と住宅金融公庫の融資を受けて、マンションを購入することにしています。何年か後には親なり兄弟が代わって住むことにしようと、家族会議で取り決めました。
最近は、とくに建築設備の発達目覚ましいものがありますし、間取りに機能性のあるニューファミリー向けマンションもどんどんできているようで、私たちの希望に合うマンションを探しているところです。

質問の内容が広範囲のため、むずかしいのですが、まずは快適で満足のいくマンションを安心して手に入れるには、どのように心掛けたらよいか、です。それにはまず、都市型か郊外型か、低層か高層マンションか、親子二世帯居住を希望するか、など住まいに対する考え方を決めることです。
さらに地域優先か、価格か、間取りか公団住宅を優先するかなど、なにをポイントに探し、選ぶのかを決めてスタートします。
環境や価格の面からすれば郊外の時代ですが、少しでも通勤・通学などの時間を縮小したいのは誰にも共通の願いです。地図上の距離よりも、電車とか乗用車を利用した場合の時間・距離をチェックすることも忘れないでください。
家族構成から必要な広さを判断し、間取りの選択をするのも大切です。夫婦と子供2人なら3LDKとして75~80平方メートルぐらい、永住志向で選ぶなら80平方メートル以上をお勧めします。マンションは将来増築不可能ですから、ゆとりのあるスペースを確保するように考慮して選択することも大切です。
パブリックスペースとプライベートスペースが分離され、プライバシーが確保されていて、各居室は採光、通風が良好であることが居住性の大切なポイントです。
共用部分については、駐車場は全戸数の何割分か、近くに駐車場があるか、入り口・ホールやロビー、廊下、階段など非常時に対応できる広さやゆとりがあるか、エレベーターは居住者数に比して十分な基数が確保されているか、などもチェックポイントです。また、専用部分は、わが家の部分のことですから疑問点を残さないように確認しましょう。
次に、建物の施工の程度が良いかどうかです。その判別については、良識のある建築士に建物をチェックしてもらえばわかることですが、施工した会社が信用のある会社であれば、まず間違いはないでしょう。施工精度によって、建物の耐久性と、当然考えられる改修の時期と程度の問題が発生するためで、重要なことと言えます。
第二には、部屋の日照と間取りについてです。専門家に建物を確認してもらえれば当然、希望に合うものかどうかが判明することですので、むしろ将来の家族構成の変化などにより、間取りの変更など、改修工事を行う時にそれが可能かどうか、構造上のチェックもしておくべきでしょう。
第三には、設備関係のチェックの必要性です。給水、電気の容量、ガスの安全性、空調の有無など、また今後の生活状況変化に応じた対応が可能かどうか。このチェックは大変難しいと思いますが、建築の専門家に相談したらよろしいかと思います。給排水の配管ルートなどメンテナンスを必要とする部分も重視すべきです。ホームオートメーションシステムはどの程度か、そのほか防犯、防災などセキュリティ機能はぜひ欲しいところです。

サンルーム建築の留意点

サンルームの増築を考えいます。スペースは10畳ほどを見込んでいます。設計、建築を行ううえでの留意点について、アドバイスしてください。

サンルームとは、日光を採り入れるガラスばりの部屋ということです。差し込む光で、屋外空間を室内に取り入れて、自然と親しみ、より開放的な住まいになると思います。また、間取りとしては、現在のリビングルームの続き間として考えていると、より一層、快適な空間が生まれます。
さて、内装材についてですが、床材は熱変化の少ないものを選び断熱材を施すことがよいと思います。断熱材としてはグラスウール、ロックウール、硬質ウレタンフォーム、高発泡ポリエチレンなどがあります。
また、一部を土間コンクリート打ち(タイル、石張り)にすることにより、観葉植物などが置け、緑を楽しむことができます。
窓ガラスについては、内外の温度による結露の問題も解決できるガラスを二枚合わせたペアガラスサッシを使用するか、二重サッシにする方が良いと思います。
天窓については万一、ガラスが破損しても全部の落下を防ぐことのできるアミ入りガラスにするか、透明度が必要ない場合は、アクリル板などが良いようです。施工に当たっては、雨漏りに十分注意する必要があります。
さらに、夏は直射日光が入り過ぎ、冬は熱が逃げる弊害がありますので、熱量や光をコントロールできるブラインド、ロールカーテンなどを設ける必要があります。
法的なことは、10平方メートルを超えますので、確認申請の届け出が必要です。詳細については、最寄りの建築士事務所にお問い合わせください。

日曜大工で増築したい

日曜大工が好きで、木造2階建てマイホームの2階部分に、一部屋増築しようと考えています。スペース的には6から7平方メートル程度ですが、法的な手続きが必要なのでしょうか。また、面積によっては、手続きが不要なケースがあるのでしょうか。

最近、週休2日制の浸透とともに、余暇をどのように使うか、悩む方が少なくない中で、日曜大工をされる方が増えているように見受けられます。しかし、マイホームの増築を、ご自分で手がけようと考えるほどの腕前の方は、あまりいないのではないでしょうか。私どもも仕事柄、建築に携わってはいても、なかなかできないことです。 さて、ご質問の件ですが、建物の建築には、その地域や用途によっていろいろな規制が設けられています。従って、今回の質問の内容では条件が不十分で、明確な判断は出来かねますが、条件を設定した上で答えたいと思います。
通常、防火・準防火地域外で延べ床面積10平方メートル以内の増築であれば、確認の申請は不要です。しかし、防火・準防火地域内であれば、面積にかかわらず確認の申請書を特定行政庁へ提出し決済を受けてから、工事を始めなければなりません。その場合、工事中に確認済の標示板を敷地内の見やすい所に、設置することも忘れずに行ってください。防火・準防火地域に入っているかどうかは、お住いの地域の役所にある建築指導課で聞けば分かります。また、確認の申請が必要でない場合でも増築によって、その他の法規(斜線制限、容積率など)に抵触して、違反建築物となる場合もありますので、できれば、最寄りの建築士事務所などでもっと具体的な内容を話し、アドバイスを受けられた方が、より確実ではないでしょうか。
以上、基本的なことを説明しましたが、参考にしていただければと思います。

建築条件付きの建売住宅

建築条件付きの建売住宅93平方メートルを設計・施工と販売をかねている建売不動産業者より、土地を購入し現在、設計中です。
注文住宅とはいえ、建売住宅の工事のように私共建築主にあまり意見を求めずに設計を進めているようです。高齢者向きの注意点などについて教えて下さい。
高齢者の居住対策として浴槽など設備はべつとして、床の段差、コンセントの位置、アレルギー体質に向けての換気、排水管等の取入れ位置などについて、持参の平面図を見て、ずばり教えてください。

あくまでも参考程度のお答えと考えて下さい。
できれば、建売業者が委託している設計者に会い、あなたの希望する設計図をまとめてもらうようお願いすることです。
床は、和洋室に関係なくその他各室ともできるだけ段差をなくし、廊下と各室の仕上材の見切なども考えて施工されたらよいと思います。
コンセントの位置は家具の置場を考え、コンセント類が家具の裏側にならないように各室ともできれば2個所以上取りつけることです。どうしても不都合がある場合は、小壁など長押の上に設ける方法もあります。
アレルギー体質を考えての換気については、給気と排気が同時に行われるような機具を選ぶことです。空気清浄機能を備えたものもありますので、検討してみて下さい。
排水管を壁の中に入れたいとのことですが、夜間排水時の音が気になるのでしたら、外観上差し支えない範囲で外部の露出配管もやむを得ないと思います。

建築条件付建売住宅の設計に不満。私の希望に向けてアドバイスを!

現在、建物の設計で建売業者と打ち合わせ中ですが、私の意見をなかなか聞いてくれず困っています。どうしたらよいでしょうか。
私が不満とする主なことは、
(1)私が希望する内容を示す詳細な図面は、「書かなくてもプロだから必要ない」と云っていることです。
(2)天井高は2.30mと言っていますが、低いと思います。また基礎の高さが30cmと説明を受けていますが、北東側に川があり過去に氾濫したことがあるため心配です。
(3)通し柱は13.5cm角のものを希望しています。業者は、土台・柱はすべて集成材を使うと言っています。構造上心配です。

業者と話し合った仕様内容を、設計図に代わり文書で記録したらいかかでしょうか。(その際、双方のサイン又は押印を忘れずに)
業者とのやりとりで、いろいろ不満もあるでしょうが、よく話し合って、できるだけあなたの期待に近づけるよう努力してください。とりあえず、あなたの不満について、参考までに次のとおりアドバイスします。

(1)木造2階建て住宅で、100平方メートルを超える場合の設計・工事監理は、建築士法によって建築士でなければできません。あなたの場合は100平方メートル以下ということなので、建築士事務所に依頼せずに建売業者に対しあなたの注文事項を聞いてもらい、それを「約定書」というような文書にまとめて委託する方法があります。なお、建売業者の了解を得て、別の建築士事務所に、設計を依頼すれば、貴方の希望内容を示す図面を作成してくれるでしょう。

(2)天井の高さは通常2.40mです。部屋が広い場合は、2.50m以上欲しいところです。北東側に川があるといいますが、現地を見ないと適正な回答はできかねます。何か参考となるアドバイスをということなら、基礎は鉄筋コンクリート造とし、地盤面からの高さはできるだけ高くする方がいいでしょう。基礎の高さについては、川が氾濫した時の状況も含め、役所の建築指導課などを窓口として、問い合わせて見るとよいでしょう。

(3)通し柱は13.5cm角でなくても12cm角で特に問題はないと思います。集成材は、構造用集成材であれば、強度的には問題はありません。但し、「土台」に用いる場合は、防腐・防蟻処理が施されている事が必要です。(これは、集成材に限らず、桧等でも同様です。)尚、桧、ひばなどの心材であれば、特に薬剤処理を必要としない場合もあります。

引渡し時のチェックポイントを知りたい

木造2階建てを建築中です。引渡し時のチェックポイントを知りたい。
知人の話では、床が水平でなかったり、柱がまがっていたり、完成後間もなく内装材が剥がれたりするなど心配が多いと聞きました。当然、それ以外の事例がたくさんあると思いますが、できるだけ多くの参考事例を伺い、工事引き渡しの際のチェック箇所を教わりに来ました。

引き渡しの際の検査は素人では無理です。専門の建築士に依頼して、一緒に立ち会ってもらうことが一番安心です。
その結果、瑕疵部分が発見されたら、必ず文書で改修方法等を取り交わすことです。改修工事が完了し、確認したうえで工事残金の支払いとなります。ただし、それまでは原則として建物の引き渡しとはなりません。
すでに本日、相談者が建具の建てつけなどで改修希望されていますが、その際、満足のいくような話し合いを行うことが大切です。
専門家に検査を依頼すると同時に、貴方にできるチェックを紹介します。役所の「工事完了検査済証」がありますか?これは、着工前の確認申請に基づいて、その建物が合法的であろうかどうか、最低限の項目について、役所が検査し、合格した事を証明する書類です。もし、この「検査済証」が無ければ、その理由を工事業者に問い合わせましょう。その説明に納得がいかなければ、役所に問い合わせる方法もあります。

改修不可能と思われる瑕疵があり、損害賠償を求めたい

取引銀行の紹介の建設業者に、鉄筋コンクリート造3階建ての住まいを委託しました。間もなく工事が完了するのですが、仕上がりが良くありませんし、追加工事金額も高く最終残金は支払いたくありません。ぜひ、相談にのってください。
建物の総延面積は約52坪で、坪当たりの工事費は約115万円、追加工事費が400万円と誰に尋ねても高いといわれます。そのうえ、今の段階で次の欠陥が気になります。
(1)各階の床が水平でなく歩くと床鳴りがします。
(2)建具の建て付けがよくありません。
(3)建物本体と化粧台に隙間ができており、造り付けの洗面・化粧コーナーの造作が、極めて悪い仕上がりになっています。
(4)設計図では天井の段違いなのに、2段に変更されています。
(5)パラペット部分と車庫内の外装タイルにクラックが入っています。(このことは、2年後に改修する確約書を取り付けています)
(6)浴室の床と内装のタイル貼付けが粗雑です。
以上のことから、改修不可能な瑕疵が多く見られますことから、追加工事代は損害賠償金として支払いを拒否したいと思いますが、いかがなものかをお尋ねする次第です。

建築工事費が高いかどうかは、設計図書と工事の見積書を引き合わせのうえ、現場を見てみないとわかりません。工事の仕上がり具合については、あなたの指摘どおりとすれば、たしかに工事業者が技術面で劣っているのかもしれません。あなたが指摘する欠陥工事については、次の事柄を参考として問題解決に努めてください。
ご指摘の(1)(2)(3)について共通することは、躯体工事が終了した段階で「引き通し」(糸を引き通して水平と垂直を確認)が省略されていたことが原因のようです。床鳴りの原因は、根太材等に乾燥材を使用しなかったことや、そのサイズとピッチ不足によることが多くあります。なお、これからの取付け用釘打ちは中途半端では床鳴りが起きます。完全に釘打ちをするか、できればビス止めにすることです。
(4)(5)(6)は当然、工事ミスで(6)については、タイル職人がタイルの割付けをしなかったのが原因のようです。
改修が不能な部分については、話し合いのうえ、損害賠償金で解決する方法もあります。

設計・監理者、工事業者の両方に対して損害賠償を請求したい

鉄骨造4階建ての医院併用住宅を新築中です。間もなく完成ですが、かなりの追加請求が心配なうえ、設計者の工事監理が怠慢で、ずさんな工事で困っています。設計者と建築業者の両者に対し、損害賠償を請求したいと思い相談にきました。
設計者は主人の知人です。一応、満足した設計図が出来上がり、建築業者3社から見積もりをとり、見積額の一番安いA社と、当初の見積額より500万を減額させて工事請負契約を結びました。
その際、減額内容については、漠然とした10項目を箇条書きにした、おおざっぱな文書を受け取りました。 さて、工事に入り内装工事の段階で、まず建具が当初考えていたものに比較し、かなりの粗雑品なのでがっかりしました。そこで、建具を取り替えてもらいましたが、変更による追加工事金額はかなりのものと予想され、何かペテンにかかった感じがしてなりません。
建具は一例ですが、そのほか、これからの内装工事が心配です。今になってわかりましたが、設計者と施工者はぐるになっており、満足な工事監理がされていません。これまで設計・工事監理料は70%支払い済みです。なお設計者のミスで約1カ月工事が遅れて困っています。

このような内容で契約した以上、建設業者を取り替えることや、遅延損害金の請求は無理と思います。できるだけ追加工事金が増えないよう、また、今後予想される瑕疵工事が起きないよう、頻繁に打合せのうえ、文書をとりかわしておくことです。
問題解決に期待する設計者が、満足な工事監理を履行しないのは困りものです。しかし設計者にも建設業者にも支払残金があるのですから、真剣に事情を訴え善処させることにつきます。公的機関による解決手続きとしては、
(1)各都道府県にある「建設工事紛争審査会」
(2)簡易裁判所(調停)
(3)地方裁判所(訴訟)
などが考えられます。又「民事紛争処理センター」等の、簡易な解決機関を設けている弁護士会もありますので、詳細は、お近くの弁護士会にお問い合わせ下さい。
なお、建設工事紛争審査会は、設計監理委託契約に起因する紛争は処理しません。従って、設計・監理者と建築業者を相手取って、紛争解決しようとする場合は、簡易裁判所又は地方裁判所に申し立てる事になります。

ひどすぎる瑕疵に怒る

柱の傾き、土台や床の不陸(平らでない状態)、建具の建て付けの悪さなど瑕疵工事の補修をしてくれず困っています。
近所の工務店に、木造2階建ての住まいの新築を依頼し、入居して約1年になります。入居して間もなくわかったことは、柱数本が上と下で約1cm傾いており、垂直ではないことでした。浴室の床は水はけが悪く、アルミサッシの建て付けは満足なものではありません。
長男が床下に潜って調べたところ、基礎と土台の一部がずれており、土台の水平は不完全な状態です。天井をはずし、梁等の仕口部分を見ましたら、金物がまったく使われておらず、釘打ちが非常に目立ちます。その上、各部屋の床の不陸がひどく、一番ひどいとことろで7~9mmの差があります。
このような状態のため、日常の生活気分がすぐれず、不快感がつのるばかりな上、大地震の際、構造的に大丈夫かと不安です。工務店に補修工事の申し入れをしましたら、「生活上困ることなら直すが、この状態では直すほどではない。それより早く工事残金を支払ってもらいたい」という回答で、たいへん困っております。

持参された写真を見る限り、まともな工事には見受けられません。これ以上折衝しても無理のようですので、法律的な手続きに入られては如何でしょう。 法律手続きには、
(1)各都道府県の「建設工事紛争審査会」
(2)簡易裁判所での「調停」
(3)地方裁判所での「訴訟」
などがあり、この他にも、「民事紛争処理センター」などの紛争解決期間を設けている弁護士会もあります。(「民事紛争処理センター」については、お近くの弁護士会にお問い合わせ下さい。)
ただ、貴方のケースの様に、折衝が困難であることを前提とするなら、(2)簡易裁判所での「調停」を求めるか、(3)地方裁判所に「訴訟」されることです。(1)各都道府県の「建設工事紛争審査会」は、『話し合いによる解決』を目的としていますので、これ以上の折衝が困難であれば、不適当でしょう。なお、「調停」と「訴訟」には、それぞれ違いがありますので、実際に行動を起こされる際には、お近くの役所などで開催されている「無料法律相談会」などで、事前にご相談なされることをお勧めします。
「土台の水平が不完全」であったり「金物が全く使われていない」のでしたら、先に、専門家に調査を依頼されては如何でしょうか。貴方の住宅が、簡単な補修工事で安心できる状態になるのかどうか、確認なされることが肝心です。

リビングのサッシが自然に動いてしまう建売り住宅

最近、新築して間もない建売住宅の1団地13戸のうち1戸を購入、すぐに入居しました。間もなく1階のリビング兼ダイニングの掃き出しサッシが自然に滑り出していることを発見、ただちに建売業者に通告したら、アルミサッシ業者が来て修理してくれました。ところが、1カ月も経たないうちにまた以前の状態に戻ってしまいました。
私の知人で電気工事の職人に調べてもらったら、地盤沈下ではないかと指摘され、再度建売業者に要請したことろ、工事を担当した工務店が調査に来ました。
調査にきた人は床下に潜って調査を行い、写真を撮り、補修方法について、ジャッキで土台を持ち上げ、基礎パッキン(ゴム)を正規の位置に入れ替えること。現在の床束をプラスチック製束に替えて床の水平を取り直すと説明、地盤沈下ではないと言います。
聞くところによると、この団地は以前、公園・駐車場に利用されていたらしいとのことです。そこで、私が心配している地盤沈下ではないのだろうか、こうしたトラブルを解決する方法についてアドバイスをお受けしたくお願いします。

再調査の結果、基礎・土台や床束等の改修方法が指摘されたのですから、まず改修工事を受けてください。しばらく様子を見てから対応したらいかがでしょう。
徹底した改修を要請することは当然です。とにかく、詳しい調査結果を受け、改修することになったのですから、ひとまず様子を見られることが良いと思います。
また、それ以外の欠陥が出た場合を含め、改修要請に応じてくれない場合は、最終解決方法として裁判所へ調停などの申し立てを行い、解決を図ってください。
地盤沈下などの鑑定調査が必要となった場合、裁判所の調停の中で「鑑定申立て」手続きを行い、裁判所指定の専門家に鑑定してもらうことができます。この場合、一般的には当事者双方が費用を負担(折半など)することとなります。
なお、今後の実態の変化にそなえて、「調査報告書」「改修方法の提案書」「改修工事報告書」などは、大切に保管しておいて下さい。念の為それらの書類に、日付が記入されている事も確認しておきましょう。

購入した建売住宅(現在工事中)に嫌気・・・

分譲建売住宅を購入、柱がやや傾き2階の床に立つと揺れを感じます。
5%の内金と仲介手数料を支払い、現在工事中です。最近、私の友人から、柱がやや傾いているのではと指摘を受け、2階へ上がって床に立つと、かなりの揺れがあり心配になりました。
検査会社に依頼し、現在調査中ですが、近く報告書ができてくれば瑕疵がはっきりするので、その段階で検討しようと思っています。
千葉の自宅から都内東北部の建設現場を見に行くことが煩わしく、そのうえ不満足な施工で嫌気がさしてきました。私の考えは、(1)ある程度の損害金(内金)は覚悟のうえで解約したい。それが不可能なら、(2)徹底的な改修をしてもらいたいと思っています。というもので、以上についてアドバイスを受けたく相談に来ました。

まずは検査会社の調査報告書を見て、判断されることです。専門家の鑑定結果に尽きると思いますが、むずかしい問題のようです。
あなたの考え方によりますが、ある程度の損害金は授業料としてあきらめ、解約ができたら、まずは土地を購入し、満足のいく設計を建築士事務所に依頼し、信頼のおける建築業者に委託することがベストです。
業者から高額の違約金を請求されたり、又その他の事情によって、スムーズな解約が困難な場合、簡易裁判所に「調停」を申し立て、満足できる改修工事を求めて話し合いを続行するか、或いは地方裁判所に「訴訟」して、契約解除を求める事になります。
尚、調停を申し立てる場合は、「建築に詳しい調停委員」をたのみたい旨、希望しておくとよいでしょう。

構造の工事不良箇所の発見で大地震に不安です。法的な解決方法は?

工事に不良箇所が見受けられ、大地震があった場合に心配です。
最近、木造2階建ての住まいを新築しました。設計など一切を近くの工務店に任せて工事が完了し、工事代金はすべて支払い済みです。入居して間もなく、家が揺れるような感じがして、心配の余りに友人の紹介で検査会社に依頼し、建物の診断をしてもらいました。その結果、次の検査報告書を受けました。
(1)通柱は皆無だが、2隅の部分には施工可能であった。
(2)火打土台は1カ所もなく、火打梁が少ない。
(3)床束の根太貫が全く入っていない。
(4)筋違いは建築設計確認通知書添付の軸組計算書どおりでなく、その必要とする箇所がかなり抜けている。
(5)小屋筋違い(雲筋違い・山筋違い)は1本もない。
(6)砕石地業の砕石敷込みが設計図より不足している。
工務店には、最初に地震に強い、頑丈な基礎を注文してありましたが、今回の報告書では基礎の調査はむずかしいとのことでした。とにかく、この状態では大地震に不安です。法的に解決したいと思いますが、参考意見を伺いたく相談に来ました。

目視調査のようですが、この検査報告書のとおりであれば、大地震の場合、必ずしも安全とはいえません。問題は、どの程度補修できるかです。
(1)については、外観が悪くなりますが、添柱(通柱)を設けることができます。(3)(5)は、床下や小屋裏に潜って、なんとか補修できますが、(2)(4)の改修は床や壁の一部を剥がさねばならず、かなり大ごとになります。(6)は、厚さが分かりませんが、改修は不可能です。
法的な解決を希望しておられますが、都道府県の建設工事紛争審査会の斡旋または調停、もしくは簡易裁判所の民事調停で解決するしかありません。
当然、補修工事については、工務店の言い分も聞かなければなりませんが、工務店のミスで補修工事ができないのであれば、損害賠償の対象となると思います。

構造的不安があって心配、工務店に申し入れても誠意を示してもらえない

基礎と土台がずれていたり、柱が垂直でないなど構造的不安があって心配・・・
柱の上下で7mmぐらいの差があり、アルミサッシの建て付けもよくありません。浴室の床の不陸も目立ちます。床下を覗いて、コンクリート基礎と土台のずれや、アンカーボルトが不完全な状態にあることもわかりました。念のため、天井板を外し、梁等の仕口部分を見ると金物補強が全くなく、釘打ちがかなり目立つという状態です。そのため、日常の生活気分がすぐれず、不快がつのるばかりです。とにかく素人が見ても構造的に心配でなりません。
余りにも腹が立ったものですから、少し強めに工務店に申し入れたら、「生活上困ることがあれば直さないことはない」という返事だけで、一向に誠意を示してくれません。

専門の建築士の方に調査を依頼して、補修方法を文書にまとめて工務店へ申し入れたらいかがでしょう。
持参された写真を見る範囲では、浴室のタイル貼、柱間の寸法の違いなどは構造からくるものと見られ、建物の納まりに気が遣われていない感じがします。補修するにしても、一部には無理なところもあると思いますが、とにかく瑕疵がある場合、工務店は、注文者に対し完全なものでないことに対する責任(担保責任)を持つ義務があります。補修ができない場合は損害賠償請求となりますが、その場合は法律家にお尋ねください。
工務店と話し合いがこじれた場合は、都道府県の建設工事紛争審査会もしくは、簡易裁判所へ調停の申立てを行い、双方が互譲の精神で円満に和解されることをお勧めします。

マンションの床をリフォームしましたが、床の軋みに困っています

私は7階建てのマンションの2階に住んでいますが、最近、床のリフォームをしました。ところが音がひどいため業者に改修をさせましたが直りません。アドバイスをお願いします。
半年程前、リフォームの或る展示室を見た際、いろいろ説明を聞いて大変気に入り、加盟店の業者と契約し一応、工事が完成しました。問題は床工事で、従来のカーペット敷きの洋間、廊下、台所を今回、(防音性のない)フローリング張りに替えました。当初、設計の段階で和室(6帖)との段差をなくすことが目的で、表面が高級なフローリングを使いました。
工事が終り使用し始めると、フローリングの継目の部分を踏むと、バリバリという音がしますので、これを取り替えさせたいのですが、依然として5~6カ所が直っていません。業者からは、「フローリングのサネが軋む音なので、慣れてくればなくなる」と言われましたが、1カ月以上経つのに一向に直りません。また、音のするサネの部分に強力接着剤を注入すればよいとも言われています。さらに全面的に取り替えるには工事費の半額を負担してもらいたい、とも言われました。

和室の床に合わせて、段差をなくすために使用とした材料に問題があるか、既存の床コンクリート部分に高低があったかが原因のように考えられますが、この音が工事の瑕疵か、当初からの計画設計のミスか、本日、お聴きした範囲では分かりかねます。一応、業者の言う補修を行い経過を見たらいかがでしょう。
フローリングの継目は、すべて本サネ式で持参の説明図では建物躯体の鉄筋コンクリート床の上に厚さ4mmの遮音パネル、その上にコンパネ12mm、ゴム製品8mmと続き、その上にフローリング厚さ14mmで合計38mmということですが、そのサネの軋む音が原因と思われます。しかし、ギシギシと軽い音なら分かりますが、バリバリという音には驚きました。
フローリングの下地の順序を鉄筋コンクリート床の上に遮音パネル、その上をゴム製品、そしてコンパネと続け、その上にフローリングとすべきだったかもしれません。フローリングから斜め打ちのラセン釘(ビス止め)とすることは当然で、現状は単なる一般用釘と、フローリングのすぐ下にある弾力性ゴム製品の歪により、フローリングのサネ部分の軋む音がなくならないかもしれません。

カビ発生に悩んでいます

浴室と洗面所、それに台所に黒色のカビが出現し困っています。カビの実態とその対策についてお尋ねします。
鉄骨造3階建ての住まいに夫婦だけで居住して約半年が過ぎました。二人とも勤めに出ておりますので、ダニやカビが発生するのではないかと心配しております。
といいますのは、私はアレルギー体質で、アレルギー性疾患の大部分はダニ、カビに由来するといわれているからです。アレルギー性疾患は直ちに生命を脅かすような重症度のものは稀のようですが、長期に亘る重症期間、日常生活への支障、患者や周囲の者が受ける不快・不安もまた大きな問題だと思います。よろしくアドバイスをお願いします。

直接的防カビ対策として薬剤、紫外線照射などのほか、空気清浄機で、除去する合理的な方法もありますが、カビ汚染発生源としての水、水蒸気の制御対策が肝要です。
高湿になりやすい浴室、洗面所、台所等は好湿性菌と呼ばれるカビが発生しやすいのです。梅雨時のような高温多湿時のカビの発生は誰にも知られていますが、結露による窓、壁、天井、押入、屋根裏等でのカビの発生は目につかないことが多いようです。一般的には、高温多湿な時と所での増殖を抑えることがポイントです。
好乾性菌といえども、水分なしにはカビの増殖は不可能です。しかしながら、逆に水分さえあれば、ほとんど栄養はとれないと思われる所にもカビは増殖しますので、室内の水のある所や水蒸気の発生場所別に対策を考えることが大切です。
浴室は多量の水蒸気を発生し、内外の湿度を高め、特に浴室内は結露と多量の湯水の使用等でカビの格好の温床となります。浴室は換気のみが奨励されがちですが、自然には処理しきれない水滴そのものの残存も注意すべきです。風呂上がりに積極的に周囲を拭き取ることを習慣化することをお勧めします。
なお、調理時には換気扇を有効活用する一方、洗濯物の室内干しはなるべく避けてください。

20年前建てられ、ガタついてきた建物の耐用年限が心配

エレベーターの保守期限が近日中に切れるのですが、建物の耐用年限が心配です。
この建物は、私たちの親が生前建築した鉄筋コンクリート造3階建ての貸倉庫です。なに分、20年前に建てたものだけに全体的にガタがきていますし、エレベーターもときどき故障したりします。建物で目につくところは、柱・梁・床・天井の一部に亀裂があるところですが、今後の大地震をふまえ、耐用年限がどの程度なものか教わりにきました。
一基あるエレベーターは、部品無償の保守点検期限があと1カ月で切れるため、この際、総合的に考えていく必要からアドバイスを受けたいのです。

この建物は、昭和56年新耐震設計以前のものですから、とりあえず耐震診断を受けることをお勧めします。
鉄筋コンクリート造の耐用年限は、一般的には100年ぐらいと言われていますが、コンクリートの中性化やこれに伴う鉄筋の腐食などで、それより短くなる可能性があります。
それよりも、この建物は昭和56年の法令改正による新耐震設計以前のものですし、建築躯体の亀裂等の心配もあり、まずは専門家の耐震診断を受けるのがよいと思います。その結果、NGの判定が出ましたら補強設計を行い、改修工事にかかることになります。そのうえで、エレベーターのことを考えたらいかがでしょう。

転勤で自宅が空き家に、その間の管理方法について教えてください

転勤で自宅を空けなければならなくなりました。戻ってくるまで貸すことも考えましたが、期間がそれほど長くなさそうなので、閉めていくつもりです。その間の管理方法について、詳しく教えてください。

質問の内容から、自宅は一般的に木造の住宅、また空けられる期間はそんなに長くなく、時々は帰ることができそうな転勤と受けとれますが、いかがでしょうか。
人間が生活していない建物は、常時閉めたままの状態となり、空気の流通等が悪化し、カビや劣化が生じて来ます。日本には四季が有り、ある一定時期には高温多湿の状態が続く風土です。例えば車のバッテリーも、エンジンを掛けずに放置しておきますと、放電し、車のエンジンがかかりにくくなるのと同様です。建物も車も時々使用しなければ調子が悪くなります。
木造住宅の材料の多くは木材を主体にしております。樹木が伐採され、材木という製品となっても、その材木、木々は生きております。即ち呼吸をしており、湿気の多い日には吸い込み、乾燥時にはその湿気を放出してゆきます。長い間住宅を閉じておりますと、湿気を吸い込むだけで放出できず、バランスが崩れ、畳がふやけたり、建具の開閉が悪化したり、動かなくなったり、又ひどくなりますと、カビやダニ等湿気を好む虫等が、人間に替わって住人となってゆきます。
対策としては、一番良いのが通気をし、乾燥させるのが良いわけです。ですから、天気の良い日を見て建具を開放してやること、また押し入れの中の物まで天日に干すこと、建具はできるだけ動かすことが大切だと思います。戻ることができない場合は近所の知人の方に依頼して、一週間に一度くらいは風を通したいものですね。
また、もし浄化槽を使用している場合、この中に汚物を腐敗させる機能があります。長い間放っておくと、その中の微生物が死んでしまいます。そうすると浄化槽の役目がなくなってしまいます。これだけはぜひ専門の維持管理者に依頼し、種汚泥を時折入れていただいてください。

木造家屋の塗装直しは

よく外壁を塗装すると木造家屋が長もちするといわれますが、建ててから何年ぐらい経てから塗装するといいのでしょうか。また、業者に委託する場合の注意事項を教えて下さい。

一概に木造家屋といっても、多種多様であります。また、塗装する場合の下地が何でできているかによっても違って来ますが、今回のご質問は恐らく、外壁が建材で造られた最近の建築ではないかと思われますので、今回は外壁の塗装について説明します。
塗料は建築材料の中にあって一番劣化の進みの激しい材料です。一般に塗料とは物質の表面に塗布し、皮膜を形成することによって、その物体の保護をすると同時に美化を発揮するという目的をもっています。
また、塗料の構成には、塗膜をつくるための成分(塗膜形成要素)と、塗膜にはならないが塗膜の形成を助ける成分(塗膜形成助要素)から成り立っています。塗膜に色を与え、塗膜の機械的な性質を向上させる目的で加える粉末成分を顔料といいます。顔料を含まないものはクリアーかワニスと呼びますが、この部分を組成面から展色剤(ビヒクル)といいます。一般に顔料を含む塗料は展色材を作り、次にこれに顔料を分散させて作ります。
外壁がモルタルなどの場合は、アクリル樹脂系エマルジョンに砂を入れて吹き付ける場合、これをリシン仕上げといいます。また、石綿スレートなど平滑面に仕上げたい場合は、アクリル樹脂系エマルジョンを刷毛で塗布します。いずれにしても、種別としてはアクリル樹脂エマルジョン系がよいと思います。これらのことを頭に入れて、業者と話し合われるといいのではないでしょうか。
もう一つの質問の何年ぐらいで塗装したらよいか、ということですが、この建物の立地条件によってかなり異なってくると思われます。交通が激しく排気ガスなどの多い所、または海岸など塩分の多い所などでは、外壁もかなり傷みやすくなります。一般的には5、6年ぐらいで塗り替えられたらよいと思います。

既存住宅への断熱材施工はできますか?

暑さや寒さにそなえて既存の住宅に断熱材を施す方法があったら、お教えください。住宅は木造で、建築してから12年たつ平屋です。

通常、住宅建築に使用されている断熱材の形状は、板状のものとマット状のものがあります。ご質問によりますと、既存建物ということですから、まず天井裏について考えると、押し入れの天井は簡単に開くと思います。手間は多くかかりますが、マット状の断熱材を敷き込めると思います。 ブローイング工法という、断熱材をホースによって吹き込み、厚さ10から20cmほどの断熱層を形成する方法も応用できると思います。 壁には、筋違いなどが入っており、人間が入って作業できるほど高くないと思われますので、仕上げ材をはがしてからでなければ施工できない場合もあります。 断熱材を入れることができない場合、その他の断熱方法を考えてみますと、現状の仕上げ材の上に、断熱性の良い仕上げ材料をはり重ねることが考えられますが、ドアの開閉に支障が生じるなど問題がありますので、納まりが良くできるかどうか、お近くの建築士事務所などにご相談ください。

住まいの建て直しかリフォームかで迷っています

築後約30年の木造2階建て延約130平方メートルの住宅に住んでおりましたが、実は10年ほど前、遠方へ転勤になり、今年になって現在地の近くに戻って参りました。この間、空き家にしていたものですから、建物のさまざまな箇所が痛んでしまいました。当初、親戚か他人に賃貸した方がよいのではと、知人にアドバイスを受けたのですが、私が帰省した時、速やかな立ち退きがむずかしく、場合によってはトラブルに巻きこまれるという予想も感じられましたので、貸家利用をやめ、年1~2回私が屋敷内の掃除を行って来ました。その結果、このたびの帰省で建物の傷みが激しいことに驚きました。
そこで、この建物をリフォームするか、思い切って建て直すか、資金計画をたて検討をしているところですが、ふんぎりがつかず迷っています。よろしくアドバイスをお願いします。

持参された図面や写真から判断しますと、この建物は10年間の空き家状態で通風の悪さから床の腐食が見られ、また屋根葺材の鉄板も錆が出ています。さらには軒裏や外壁もかなり破損箇所が見られます。しかし、相当老朽化しているものの構造自体がどの程度堅固かは判断しかねます。
相談者は現在、別に所有するマンションに居住し、相談物件の建物は賃貸用を考えているとのこと、従って特に急ぐこともないようなので、建築士事務所へ耐震相談の申し込みを行い、現場調査を受け詳しい説明を受けて判断してください。

共同住宅を医院に直したい

昭和35年に建築した壁構造3階建ての共同住宅をこのほど購入しました。この建物を改修し、併せて増築を行い、医院併用住宅に改装したいと考えています。
間取り変更により、鉄筋コンクリート造壁体の一部数カ所を壁抜きにしたいのですが、万一大地震の時影響しないかどうか心配です。

リフォーム時の増築計画には、当然設計計画を立てなければなりません。専門の建築士事務所に設計を依頼し、相談することで解決できます。
間取り図の略図を見た範囲では、全体的に壁が良いことと、戸境方向の壁量が十分にあることから、ドア一枚程度を抜くことは、開口部の枠補強をすれば可能と考えられます。
しかし、この建物は、昭和56年の新耐震設計法の政令改正以前の建物ですから、現在の構造基準に見合っているかどうか検討する必要があります。
従って、新築した当時の設計者に問い合わせるか、あなたがこれから改築の設計を依頼する建築士事務所に検討してもらうかして耐震診断を受けてください。

ハトの被害に悩んでいます

階建ての住まいを建築しましたところ、軒先の下端にハトが巣づくりして建物の汚れに悩んでいます。
この付近で我が家だけが3階建てのせいか、私の家だけに巣づくりして絶えずハトが集まってきます。そのため、巣や糞で建物が汚され、非常に不衛生で人の健康を害する恐れがあります。
最近、ハトの巣や糞に生息するダニや菌が人間の健康を害するという話を耳にするようになりました。このようにハトによって生まれる不衛生な建築環境は、住民や建物管理者を一層神経質にさせざるを得ません。そこで建物の美観を損ねない方法として、建築業者に対し、ハトの飛来防止と巣の撤去工事を要請しましたが、一度見に来てくれただけで誠意をもって対処してくれません。

ハトは中層ビルの庇や梁に好んで留まります。ハト被害の防ぎ方は、とにかくハトを建物に近寄らせないことです。
対策方法としては、(1)ネットフェンスを造るなど物理的な方法でハトを建物に近寄らせないこと。(2)電気や磁気、音波を使ってハトを追い払うこと。(3)ハトが嫌う光る目玉や猛禽類の鳥の模型などの「かかし」でハトを脅かすこと。(4)薬品や粘着材などでハトを近寄らせないこと。(5)捕獲・駆除でハトの絶対数を減らすこと、などが挙げられます。あなたは建築業者にハトの飛来防止などの要請をしているようですが、建築業者にはハト被害の責任はないと思いますので、その業者と話し合い、お願いをし、あなたが出せる範囲の最低金額を伝え、ハト公害を解決してください。

工事金額をかなり値引きさせたので建物の出来具合が不安

最初、3~4の設計事務所を当たり、その中で一番安いと感じた事務所に、鉄筋コンクリート造で地下1階(倉庫)、地上3階建ての店舗付き共同住宅の設計・工事監理を委託しました。もちろん、当初の設計金額を値切ったうえ、工事監理料はほとんどサービスに近い金額でとり決めました。
施工業者は10社が来ましたが、見積書を提出したのは4社で、最低価格10,300万円で落札。地下室の水中ポンプ2台を1台に、その他の仕様を落とし800万円値引きさせ、9,500万円で工事契約して間もなく着工の運びです。 しかし今となって、800万円値引きした工事内容に、私としては納得がいかず心配になっています。一例として、ユニットバスのトイレを別にする設計変更したら、160万円の見積書が送られてきました。これは妥当なものであるかどうか不安でなりません。

直接、施工業者と交渉している様子ですが、設計・工事監理者がいるのですから、十分信頼して何でも相談し、中に入ってもらうことです。
折角、設計・工事監理者がいるのに監理者抜きの注文や指示をしたのでは、施工の進行がスムーズにいきません。
「値切るのが私の生きがい」と言わずに今少し監理料を奮発し、あなたの期待する建物の完成に向けて、専門家に見てもらうことが一番です。結果的には、そのほうが安くつきます。
とにかく、建築主は専門知識がないのですから、右往左往する気苦労はやめたほうが得策です。なお、工事の進行については、工事監理者や施工業者との打合わせにおいて、必ず打ち合わせ事項や写真などを1冊のノートにまとめることも大切です。

近所へのピアノ騒音対策について

孫にピアノを購入することになりましたが、隣近所への騒音が気になります。音響や防音など留意点教えてください。
既存住宅は築後5年の2階建て木造2世帯住宅です。ピアノにはアップライトピアノやコンサートピアノなどいろいろあるようですが、重量は200~600kgとのことで、業者の話では「特別な補強をしないと床が耐えきれない場合もある」ということでした。
また私の住む地域は「特に静穏を要する地域」で、市役所の話では騒音に係る環境基準は、昼間で45デシベル以下、朝夕で40デシベル以下、夜は35デシベル以下と説明を受けました。
そこで、孫がピアノの練習をするため、隣近所への騒音が気になります。ピアノがある部屋だけでも防音工事をしてもらうと思っていますが、音響や防音など、ピアノに適した環境づくりについて教えてください。

手っ取り早い話をすれば、ピアノ販売業者に相談されれば床の補強や防音工事について、正しい回答が得られます。 一般家庭の床はピアノでもかなりの重量のものについては考慮しておりませんので、当然、床などが壊れないような措置をしなければなりません。 方法としては(1)硬い床材を使うこと、(2)床材を支えている根太材の間隔を狭くするか、材料を大きなものに変更すること、(3)根太材を支えている大引材あるいは2階床梁についても根太材と同じように間隔もしくは材の寸法を変えることなどを行えばよいと思います。ただ、ピアノを置く部屋が2階になる時は、他の部分についても補強が必要になるかも知れませんので、考慮すべきでしょう。
次に音響を考える場合、部屋としては外部の騒音遮断すると同時に、内部音の遮音を図る必要があります。また、最適な残響時間を有し、エコーやフラッターエコーが起きないように設計する必要もあります。今回の使用形態を考えた場合は、部屋の内装面の使用材料やその処理の仕方などに気を使えば、ある程度の効果が出ると思われます。そこで、表面にはある程度音を吸収する材料を張り、その裏に音を遮る材料、その次にまた吸音材というように軽い材料を組み合わせて使う方法があります。
防音材としては、使いやすさ、材質、厚み、価格など制約がいろいろあり、完全なものはないようですが、吸音ボード、石膏ボード、遮音シート、グラスウールなど、各製品を重ね合わせて使用するとよいかもしれません。
天井も同様にし、床にも遮音シート、グラスウールを入れてください。また、アルミサッシを防音用に換えることも忘れないでください。
とにかく、防音に関しては吸音材料を用いて二重壁構造を形成するように、床・壁・天井・開口部および扉の構造に配慮する必要があります。また、空調整備についても同様に配慮しなければならないと思います。施工方法は簡単なものから高度なものまで数種類ありますから、予算を考慮して施工業者とよく打ち合わせをすることです。

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